ビジネス社会を生き抜く知恵:本当に必要な「基礎知識」とは? ~書籍『ビジネス・ゲーム』第一章レビュー~
こんにちは、日々キャリアについて研究し、キャリアで自己実現することを応援しているくららです。
第一章「ビジネス社会の基礎知識」をご紹介したいと思います。
目 次
「やりがい」だけでは生き残れないビジネス社会
もしあなたが「やりがいがあれば、昇進や収入なんて二の次でいい」と考えているなら、それは大きなリスクを抱える考え方かもしれません。この本では、ビジネス社会を生き抜くには「能力」や「やりがい」だけでなく、「集団の中でどう動くか」が極めて重要だと説いています。
その理由は明快です。仕事の内容やキャリアチャンスは、個人の能力や努力だけではなく、組織内での信頼関係や情報収集力、状況判断力によって大きく左右されるからです。
リモートワークの環境構築で学んだ「ビジネス・ゲーム」
ここで、本書の内容を象徴するエピソードを紹介します。
私の友人である女性管理職のAさんは、コロナ禍においてリモートワークへの切り替えを担当していました。彼女は、必要な携帯電話やWi-Fiの機材が入手困難であると分かると、知り合いのいるグループ会社に連絡を取り、使用していない機材を一時的に融通してもらえるよう手配しました。この迅速で柔軟な行動により、部署の業務効率が大幅に向上しました。
ところが、上司に報告したところ、「そのグループ会社の代表の承認を取ったのか?」と確認され、急遽手続きを進める必要が生じました。承認を得た後、Aさんは上司から「相手側の代表に直接お礼のメールを送る」と連絡を受けます。この一連のやり取りを通じて、Aさんは気づきました――これこそが「ビジネス・ゲーム」だ、と。
なぜリーダーの「仕事」が評価されるのか?
ここで疑問が生まれます。使用していない機材を手配したAさんの機転よりも、代表としてお礼のメールを書く上司のほうが高い評価と報酬を得るのはなぜなのでしょうか?
答えは、上司が「組織内での対人関係の重要性」を理解していたからです。著者はこう述べています。「能力や努力以上に、状況を判断し、情報を収集し、人間関係を構築する力が、キャリアの成功を左右する」。つまり、Aさんの行動は素晴らしいものでしたが、その背景にある「組織の文化やルール」を踏まえていなかった点が課題だったのです。
日本の男女格差と「メンタリティ」の違い
本書では、日本社会における男女格差の背景についても言及しています。たとえば、世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」において、日本の順位が低いことは広く知られています。
著者はこれについて、「単に性差別の問題ではなく、組織内でのメンタリティや文化の違いに起因している」と指摘します。女性が「個々の能力」を重視しがちな一方で、男性は「組織内での位置づけ」や「競争のルール」を熟知しているという違いが浮き彫りになります。
この違いを埋めるためには、女性が「組織の言葉」を学び、ルールを理解する必要があります。著者はこれを「ビジネス社会における地図とコンパスを持つこと」と表現しています。
「女性はビジネス社会の外国人」
この本がユニークなのは、女性を「ビジネス社会における外国人」とたとえる点です。外国人として異文化の中で生活する際、現地の言葉やルールを理解しないと孤立してしまいます。同様に、女性も組織内でのコミュニケーションや暗黙のルールを学ぶことが求められます。
たとえば、「男性の上司が何を考えているのか分からない」「なぜ突然指示が変わるのか理解できない」という経験はありませんか?あるいは、女性同士で愚痴をこぼし合う「女子会」で、「部長の説明が分かりづらい」と話したことはありませんか?
これらの背景には、男女間で共有される「文化」の違いがあります。男性が暗黙のルールを前提に動く一方で、女性はそのルールを学ぶ機会を持たないことが原因です。
女性が持つべき「学びの姿勢」とは?
論点をまとめると、女性がビジネス社会で成功するためには、以下の二つの姿勢が重要です。
- 組織内で求められる知識やスキルを積極的に学ぶこと。
- 新しいルールや文化を受け入れる柔軟なメンタリティを持つこと。
これらを実践することで、女性が組織内での「外国人」状態から脱し、対等なプレイヤーとして活躍する道が開けるのです。
次回に向けて
第一章では、「やりがい」や「能力」だけでは不十分であり、組織内でのルールや対人関係の重要性を学ぶ必要性が語られました。次回は、第二章「会社で働くことの本質」に焦点を当て、組織の仕組みや図解を用いてさらに深掘りします。お楽しみに!