逆ナースコール

すでに期待はしていなかったが、
なかなか看護師は来なかった。
意識朦朧とするなか、暗がりに浮かぶ人影。
冷静な看護師の声が聞こえた。
「寒いんです。」と訴え、痛いか寒いか言いながら大泣きした。
出産でもこんな痛みを感じたことがなく、そして吐いた。
熱を測るように言われて、体温計を脇にさされた。
私は隣の老女が窓を開けているんじゃないかというくらい寒く、老女は部屋が熱いと言っていたのでそう疑っていた。
ただ、どう考えても病室の窓を患者が開けれるはずはない。しかも11階。
つい最近起こった芸能人のホテルから飛び降りた事故の一件を思い出しても絶対にありえないと自分に言い聞かせた。
低体温症になっているんではないかと思ったが、体温は38度を超えていた。
看護師は、薬をのめるんだったらそのほうが早いです。
点滴だったら先生にお願いして時間がかかります。というので薬をもらった。
もうこれ以上飲めないと思ったが、他に飲み物がないのでアクエリアスで薬をのんだ。
しばらくしたらおさまった。
朝になると、看護師が来て、点滴して血液を採取していった。
救急で採血したばかりなのでなぜまた採血するのかわからなかった。
朝食は食べれた。
しばらくして婦長が来て、「じゃぁ、お部屋変わりましょうか?もともと4人部屋ご希望だったんで」
今日退院する予定なので結構ですと言ったら、すごく驚いた表情をして確認しますと言って去った。
もう一度来て、移動するように言う。
オットに相談したところ回答は
二人部屋はやめたほうがいい。
君の性格を考えると4人部屋のほうがいい。確かに最初に4人部屋を希望した記憶も戻り
そしてはるか遠い、留学中の寮でのトラブルを思い出した。
オットはそのことをよく覚えているようで、当時たくさんサポートしてくれた。
最終的に寮を引き払って私が彼の家に転がり込んだwww
明日退院なのにと思っているところ、
老女がカーテン越しにまた話しかけてきた。
とっさに逃げないとと思った。
この時、発作を起こしたのは隣の老女が話しかけてきたからで、病状が悪化したのも全部彼女のせいと思い込んでいた。
婦長がタイミングよく迎えに来たので、この“逆ナースコール“に便乗して老女にろくに挨拶もせず移動した。