「ライフキャリアレインボー」という言葉を耳にしたことはありますか?
くららラボでキャリアのご相談を受ける際、キャリア以外でも多くの問題を抱えておられ、なかなか今の問題が何かを可視化できないときにご紹介しています。
人生100年時代、と言われる今、「ライフキャリアレインボー」に注目が集まってきています。
ライフキャリアレインボーとは、自分の生活を、現在を起点として過去から未来までを虹の形に描いた図のことです。
自分がどのような役割を持って生活しているのか、客観的にみつめることで現状の問題点を解決し、将来へのビジョンをはっきりさせる効果が期待できます。
ライフキャリアレインボーで自身のキャリアを描いてみることで、多種多様なキャリアが重要視される現代を生き抜くヒントがみつかるかもしれません。
目 次
ライフキャリアレインボーとは
「ライフキャリアレインボー」とはどういうものなのでしょうか。「ライフキャリア」と「ライフキャリアレインボー」に分解して説明します。
まず「ライフキャリア」とはキャリア理論の1つであり、「人生それぞれの時期で果たす役割(ライフロール)の組み合わせ」と定義しています。
キャリアを仕事だけでなく家庭や余暇、社会的な活動なども含めた人生全般から捉えており、「生涯を通しての自分らしさの表現がキャリアである」という考えが、
この理論の根底にあるのです。
このライフロールの重なり合いをアーチ形の概念図で表したものが「ライフキャリアレインボー」と呼ばれているものです。
(出典:文部科学省 「高校生のライフプランニング」2020年2月19日)
ライフキャリアレインボーでキャリアを描く方法
Step1. 今を把握
現在の生活において、それぞれのライフロールにどのくらいの時間やエネルギーを使用しているかを書き出しましょう。合計で100%になるようにエネルギーを振り分けます。(参考:KIPカウンセリング 【キャリア理論】ライフキャリアレインボーとは?ワークシートのやり方、書き方をご紹介!
レインボーに色を塗るときには、色の幅でこの割合を表すとよいです。
(転載:テンプスタッフ 「ライフキャリア・レインボー」に取り組んでみよう!)
一般的には次のライフロールが使われています。
子供‥親と関わる役割
学生‥勉強する役割(20代までの教育を受けている時期のほか、大人になって再度学習することも)
労働者‥アルバイトも含め、収入を得るために働く役割
配偶者‥事実婚も含め、配偶者としての役割
家庭人‥家族の一員としての役割、家事をする役割
親‥子供を養育する役割
余暇人‥自分の好きなことを楽しむ役割
市民‥社会の一員としての役割。ボランティアや地域貢献活動
(年金生活者)‥年金受給者としての役割
Step2. 過去を振り返る
5年前、10年前、とさかのぼって記入していきます。現在におけるそれぞれのライフロールの割合が、当時はどうなっていたのかを書いていきましょう。
自分が達成感を得た出来事や、一所懸命になれた出来事などを書き込んでいくことも効果的です。自分の足跡を可視化することで、自分を認めることができます。
Step3. 将来を描いてみる
次に、現在のライフロールが5年後、10年後、どうなっていくかを記入していきます。
子供の成長や親の介護など、家庭の環境の変化に応じてライフロールも変化するのです。「起業する」など具体的な仕事上の目標もあれば思い切って記入してみましょう。
Step4. 将来のライフロールの変化に備える
出来上がった「ライフキャリアレインボー」をみて、将来のライフロールの変化に備えるべきことを考えましょう。
自分が理想としているライフロールのバランスを達成するために、今何をすべきなのか。あるいは、現状は維持しながらも段階的にライフロールを変化させるのか。
例えば将来的に起業したいのであれば、現状はその準備期間として捉え、スキルアップするために労働者としてのライフロールを充実させることを考えるでしょう。
違う業種に転職をかんがえていれば、余暇人のライフロールでその準備をする必要があるかもしれません。
ライフキャリアレインボーを作り終わったら、全体像を眺めて「今やるべきこと」を考えることが大切です。
ライフキャリアレインボーが注目されている理由
どうして、今、ライフキャリアレインボーが必要とされているかですが、
定年後の人生を充実させるため
ライフキャリアに注目が集まるようになったのは、「人生100年時代」が背景の1つとしてあげられます。
人生が100年に延びると想定されている現在は、定年後のセカンドライフも視野に入れて自分の生き方を考える必要があるのです。
日本では特に長寿化が進んでいることもあり、これまでの人生80年の人生設計のモデルとは違う、新しい「生き方」が必要と言われています。
終身雇用が一般的だった頃は定年までその企業でしっかり働き、その後は余暇を楽しむというモデルでした。しかし人生100年時代では、定年後も人生は約30~40年続きます。
その時に備えてお金や余暇の過ごし方を含む「生き方」を考えなければなりません。
子育てをしながら仕事をするため
子育てと仕事を両立させるためにもライフキャリアレインボーを描く必要があります。
自身のライフキャリアを見つめて役割が明確になれば、その役割の割合を全うすることに集中して両立できるようになります。
現実が理想と違ってストレスになることもあるかもしれません。しかし子育ての役割が終わればその理想を再び追いかけることができる、
とわかれば現状の業務内容の範囲で成果を出すことに集中するという考えもできます。
私ごとですが、ムスメが幼稚園に行く際、仕事を辞める前提で、お受験をして某ミッションの幼稚園の入学許可を得て入学手続きも完了していました。
高校時代からの友人にこのことを報告すると、子供が中学ぐらいになると、急に自分の時間が増えて、することがなくなる。
あっという間に大きくなるので、仕事は続けたほうがいいと言われました。
友人は既に高校生のこども2人いて、子育てがいかに変わり、自分の時間がとれるかを教えてくれました。
結局、わたしはオットと相談したあと、ムスメを決まっていた幼稚園ではなく保育園へ入園させ仕事を続けることにしました。あれから10年以上たちますが、ムスメも保育園で過ごした時間は楽しくあっという間だったようです。
育児は女性だけでなく男性も関わる問題です。パートナーと一緒に自身のライフキャリアレインボーを描くことで将来を見据え、子育てと仕事を両立させていくことの
ハードルが下がります。
ライフキャリアレインボーを考えておくメリット
ライフキャリアレインボーを描くことによって、次のような効果が期待できます。
現在の生活における辛さの原因を把握できる
現在、自分のエネルギーが何に一番使われてしまっているかを可視化できます。
例えば家庭人としての役割をそれなりに果たしているつもりでも、いざ数値にしてみると意外と低いことがあるのではないでしょうか。
家族サービスをしているつもりでも更に求められているのは、自覚と実際の違いがあったからかもしれません。あるいは自分の時間を充実させるようにしているけれど、数値にすると仕事の割合があまりにも大きいことに気づく人もいるでしょう。
このようにライフキャリアレインボーを描くと、うまくいかないと感じる原因が見えてくるのです。
自分の価値観を認識できる
これまでの実績を書き出すことで、達成感を感じられます。
また大切にしてきたことを書き出すと自分の価値観を認識でき、自分を認められて自信が持てるようになるでしょう。
自分の価値観をもとに、自分にとっての理想のライフロールのバランスを考えるきっかけになります。理想のライフロールのバランスを考えるきっかけになる
仕事とプライベートが互いに影響しあって今の自分の生活があることも認識できるため、仕事もプライベートも充実させるようなバランスを探るようになるでしょう。
現在の仕事に悩みを抱えている人にとっては、ライフキャリア全体の中での現状を客観的にとらえられ、未来に一歩踏み出す勇気をもらえるかもしれません。
多種多様なキャリアを認めよう
自分の「ライフキャリアレインボー」を書き上げると、客観的に自分の人生を見つめ直すことができます。
これまでの自分の人生にきちんと向き合い、「だから今があるのだ」と現状を認められるようになるでしょう。
ライフキャリアレインボーは、1つとして他人と同じものはありません。人それぞれのレインボーのデザインがあります。
自分のデザインと違うからという理由で他人のライフキャリアレインボーをうらやましく思う必要はないのです。
生まれ育った環境や趣味嗜好は人それぞれ。人と異なるデザインだからこそ、必要とされる場所もあるはずです。
どの「ライフキャリアレインボー」が正解ということではありません。十人十色。他人のライフキャリアレインボーを認めつつ、
自分のレインボーを大切に見つめていきたいですね。
まとめ
ライフキャリアレインボーは、自分の人生をみつめるとても良い機会になります。
多忙な毎日の中で、ゆっくり自分の人生をみつめる時間は貴重です。
ぜひ、一度、あなたの虹を描いてみてください。